屋上緑地施設を希少植物の保全拠点へ!

脚光を浴びる屋上緑地

屋上緑化はヒートアイランド現象の緩和や建物内の冷暖房費抑制、景観の向上などにつながることから、 近年大都市圏で積極的に導入されています。緑化に使わ れる植物は芝生などの単純な被覆種からイングリッシ ュガーデン用の低木など管理のしやすいものが多いですが、条例等によって在来樹木を用いた日本庭園風の 屋上緑化施設が近年増加傾向にあります。点在する都市緑 地を繋ぐエコロジカルネットワーク拠点として、蝶な ど昆虫類や野鳥の多様性保全に重要な役割を果たすこ とが期待されています。

屋上緑地に菌根菌は存在する?

希少植物の保全を困難にしている大きな要 因として共生する微生物(菌根菌)が挙げられます。環境アセスメントで保全対象となることが多 いラン科やツツジ科などの稀少植物は、特定の菌根菌と 選択的に共生することで生きていますから、適合する菌種が存在しない環境では生育できません。では、樹木を植栽した屋上緑化施設に菌根菌は存在しているのでしょうか。 希少植物の保全拠点とすることを目指し、希少植物 が生育するための微生物環境が屋上緑化施設で形成され ているのか調査しています。

菌根菌の導入は希少植物の維持に効果的?

屋上緑地に微生物環境が十分に整っていない場合、適合する微生物を人工的に導入することで、希少植物は生育できるのでしょうか?ラン科植物の生育に必須である菌根菌を分離培養して、導入の準備に取り掛かっています。