日本にもトリュフがある!?

地中にできるキノコは新種がいっぱい

植物や動物と違って、肉眼では観察が難しい菌類。どうしても分類学は遅れています。

おそらく日本に生息している菌類で名前がついているのは1割にも満たないでしょう。

菌類は生態系の中で分解者や共生者としてとても重要な役割を果たしています。

名前も無いまま絶滅の危機に瀕している菌も多いです。少しずつでも菌の種を記載して認知されることが大事なのです。

キノコは菌類の中でも比較的観察しやすいものです。しかし、キノコの中にはトリュフのように地中にできるものもあり(地下生菌)、そうした種を見つけるのは困難です。日本にどんな地下生菌が存在しているかはほとんど分かっていません。

写真のように、熊手のような道具を使って地表を少し剥いでやると、結構いろいろな地下生菌が見つかります。

見つかった地下生菌の写真。慣れないと、シカやウサギの糞と紛らわしいこともあります。われわれだけではどうしても多くの標本を採取できないこともあり、アマチュア愛好家の協力は大きな力になります。

10年以上にわたって収集された標本のうち、いわゆるトリュフ(Tuber属)のDNAを調べたところ、これまでに記載されたことの無いたくさんの菌種の存在が分かりました。その数なんと20種!これを論文にしてまとめたところ、「日本にもトリュフがある!」ということで、新聞やテレビでたくさん報道されました。


詳しくはKinoshita et al. (2011) Mycologia 103: 779-794 をご参照ください。


このうち幾つかは新種として発表しました。

日本のクロトリュフの仲間も見つかったので少し食べてみましたが、私はおいしいとは思いませんでした。。。。

トリュフの他にも地下生菌のEntolomaRhizopogonなどを新種として発表しました。しかし、まだ名前もつけてないものもたくさん。。。そんなものもまとめて「地下生菌図鑑」として、共同研究者と一緒に本を出してみました。一般のきのこ図鑑には載っていない珍種がほとんどです。興味のある方は是非購入してみてください。トリュフの探し方も書いてありますよ。地中のきのこを探すのは宝探しみたいで楽しいです!

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