菌がいないと木が育たない!?
木に共生している菌類:菌根菌
菌根菌は植物の根に共生する菌類です。実はほとんどの植物の根についているのですが、樹木に共生する菌根菌はキノコの仲間が多いです。マツタケやトリュフも菌根菌です。
こうした菌根菌は、樹木が光合成で作った炭水化物をもらって生きています。かわりに、菌根菌は土壌中から吸収した養分を樹木に渡します。まさに「もちつもたれつ」の仲良し。
菌根の姿
樹木の細根は菌根菌の菌糸ですっぽり覆われています(右図の白いもの)。これを輪切りにして染色してみると、菌糸は根の内部にも深く侵入しているのが分かります(左図)。これが菌根の姿。
菌根からは無数の菌糸が土壌中に伸びています(右図)。これが根の延長として機能し、土壌養分を遥かに効率的に吸収できるようになるのです。
文字通り「菌」と「根」が一体となって「菌根」という訳です。
樹木の成長と菌根菌
樹木にとって菌根菌はとても大切なパートナー。
菌根菌がいないと、養分をほとんど吸収できないので、樹木は成長できないのです(図の左上の対照区)。 菌根菌の助けがあってはじめて成長できるのです。
左図で最も効果のあった菌根菌の実験区では、 6ヶ月後には苗の大きさが対照区の8倍、光合成量で50倍にもなっていました。
根毛は役立たず?
野外の樹木の細根は、実はほとんどが「菌根」になっているので、菌根菌の感染していない根を見ることはめったにありません。ただ、実験室で滅菌した土壌をつかって苗を育ててやると、菌根菌の感染していない細根が見られます。教科書で見るような根毛もたっぷり。
上の実験の対照区でも写真のように根毛のある細根がたくさん見られました。しかし、どんなに根毛があっても土壌から養分をほとんど吸収できないので、苗は全く成長できないのです。
このように植物に必要な土壌養分を、根ではなく菌が吸収しているなんて驚きませんか?
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